人工知能(AI)はもはや商業的なイノベーションの枠を超えて、戦力増強の手段となっています。ミュンヘン安全保障会議でも、元サイバー担当国家安全保障顧問代理のアン・ノイバーガー氏が、AIの軍事利用が進んでいることを指摘しました。標的の識別から精密攻撃に至るまで、AIはキルチェーンのあらゆる段階でAIが指揮を執っています。
日本サイバーディフェンス(NCD)でもAI主導の戦争がもたらす戦略的影響を強く意識しています。いま問われているのは、AIが兵器として使われるかどうかではなく、国家や企業、重要インフラの運用者が、どうすれば効果的に防御体制を整えられるかということです。
もはや問われているのは、AIが兵器化されるかどうかではなく、いかにして国家や企業、重要インフラをAIから守るかなのです。
情報収集の自動化や電子戦能力の強化、攻撃経路の最適化など、AIの台頭により、戦争のあり方は変わりつつあります。ノイバーガー氏が指摘した「キルチェーンのあらゆる段階におけるAIの関与」は、サイバーセキュリティに携わる全ての関係者にとって警鐘となったことでしょう。秘密裏のサイバー侵入から、AIによって制御されるドローンウォーム(群隊行動)に至るまで、敵対勢力はかつてない規模とスピードで、AIを用いて脆弱性を突く手段として利用されています。
実際、近年の紛争においては、AI駆動の自律型ドローンや監視システムが壊滅的な効果をもたらしています。AIは従来の物理的な戦闘(kinetic warfare)を最適化するだけでなく、重要インフラへの侵入、サプライチェーンの混乱、さらにはAI生成による偽情報拡散を通じて世論操作まで可能にし、サイバー・フィジカル攻撃の脅威も拡大させています。
AIは、攻撃の自動化や脆弱性の巧妙な悪用、そして紛争のスピードそのものの変革を通じて、戦争の様相を根本から変えつつあります。
国家支援型アクターによるサイバー脅威は、世界的にますます深刻な懸念となっています。AIによって高度化されたサイバー攻撃は、こうした脅威を一層加速・深刻化させる可能性があります。想定されるリスクの一例は、以下の通りです。
- 金融分野:AIを活用した大規模な金融詐欺の自動化、株式市場の攪乱、ディープフェイクを用いた詐欺の実行
- エネルギー・公共インフラ: 電力網や水処理施設を制御するSCADAシステムを標的としたAI駆動型マルウェアによって、連鎖的な障害が引き起こされる
- 通信分野:5Gネットワークや衛星通信へのAIによるサイバー諜報活動により、国家安全保障に関わる機密情報漏えい
- 輸送・防衛分野:航空管制、スマート鉄道システム、自律型軍事機器などに対して、AIを活用した高度なハッキング攻撃
先進技術への依存が高まる中、重要インフラはAI主導のハイブリッド戦において、主要な標的となっています。
日本サイバーディフェンス(NCD)では、AIによって高度化する脅威に対抗するために必要なツールやインテリジェンスを提供することに尽力しています。政策立案者、企業経営者、セキュリティ専門家の皆様には、重要インフラと国家安全保障を守る強固なサイバーレジリエンス戦略の構築に向けて、ぜひとも連携いただくことを呼びかけています。
サイバー成熟度評価
日本サイバーディフェンス株式会社(NCD)では、組織のサイバーセキュリティ能力を包括的に診断する「サイバー成熟度評価サービス」を提供しています。このサービスは、現状の課題や強みを明確化し、組織が直面するリスクに対して最適な対策を講じるための土台を築くものです。さらに、全体的なセキュリティ態勢を強化するための戦略的なロードマップをご提案し、実効性のある改善計画をサポートします。
サイバーセキュリティフレームワーク(NIST)
国立標準技術研究所

サイバー評価フレームワーク(CAF)
国家サイバーセキュリティセンター

NCDのサービスに関する詳細: サイバーセキュリティコンサルタント、保護サービス、ネットワーク監視とセキュリティ運用、SIEM、インシデント管理
その他の記事を読む
- 1
- 2