Nihon Cyber Defence

サイバーインシデントへの適切な対応方法​

レジリエンス強化と課題克服で増加するサイバー脅威に立ち向かう​

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サイバー脅威の増加に伴い、日本企業はインシデント対応能力の強化が強く求められています。しかし、伝統的な意思決定プロセスや不十分な対応体制により、復旧は遅れ、被害は拡大しています。本記事では、サイバーセキュリティ分野における私自身の経験を基に、インシデント対応体制を強化する具体的な方法をご紹介します。経営陣の皆さまには、これらの戦略を導入することで、サイバー対策にお役立ていただければ幸いです。

インシデント対応計画の事前策定

サイバーインシデントが発生すると、その影響はIT部門に留まらず、組織全体に波及します。危機管理において最も重要なのは、事業への影響を最小限に抑えることであり、復旧作業などの技術的対応だけに焦点を当てるべきではありません。入念な事前準備こそが、混乱と対応の遅延を回避する鍵となります。企業は以下の施策を導入することを推奨します:

  • 役割の明確化:危機管理チームにおいて、経営陣からIT担当者まで全チームメンバーの責任範囲を明確に定めましょう。インシデント発生時には、各メンバーが自分の役割を理解し、迅速に対応できる体制を構築します。
  • 危機管理シミュレーションの実施: 定期的な訓練を通じて、組織の対応能力を検証し、必要な改善を行いましょう。サイバーインシデントは技術的な問題に留まりません。全社的な取り組みが求められるため、各部門が連携して迅速かつ効果的に対応できる体制を整えることが重要です。

迅速かつ的確な行動を

日本企業の多くはヒエラルキー型組織であるため、インシデント発生時の意思決定には時間がかかる傾向があります。しかし、サイバー攻撃の影響を最小限に抑えるためには、迅速な対応が欠かせません。初動対応を改善するための具体的な方法を以下に示します:

  • ミッション・コマンドの原則の活用:明確な目標と行動範囲を設定することで、各従業員はその範囲内で自律して意思決定を行うことができます。上層部の承認を待つことなく迅速に意思決定を行うことができるため、全体の対応速度が向上します。
  • 通信手段の確保:信頼性の高い専用通信ツールを導入し、インシデント時の統制を維持します。これにより、攻撃者による機微情報への不正アクセスを防ぎつつ、経営陣や関連部署間の効率的な連携と調整が取れるようになります。

セキュリティフレームワーク強化のためのステップ

構造的で明確なアプローチを重視した手法です:

  1. 準備:インシデントに備え社員教育を実施し、対応手順を整備
  2. 検知:脅威を迅速に特定し、被害を最小限に抑える
  3. 封じ込め:脅威を隔離することで、被害の拡大を防止
  4. 復旧:重要な業務プロセスを保護しつつ、可能な限り迅速に通常業務を復旧
  5. 評価:対応の振り返りを行い、体制を改善するための教訓を明確化

長期的なレジリエンスの構築

サイバー攻撃は、組織に壊滅的な影響を与える一方で、社会的信用を向上させる契機にもなり得ます。インシデント対応は企業の評判を大きく左右するため、透明性のあるコミュニケーション、迅速な対応、そしてインシデントの詳細な記録が不可欠になります。これにより、適切な対応を行ったことをステークホルダーに示すことができます。

NCDが提供する実績ある「5つの対応策(5-Strands Response)」モデルを導入することで、迅速かつ柔軟な対応を促進する企業文化を育み、企業はインシデント対応の質を向上させることができるでしょう。このプロセスには時間と継続的な努力が必要ですが、ダウンタイムの短縮、防御力の向上、レジリエンスの高さへの評価など、得られる成果は非常に大きいものとなります。

インシデント対応における5つの対応策

NCDが提供する包括的な対応策では、技術的対応、状況の緩和、規制対応や告知・メディア対応、脅威者の調査および特定の各側面から同時並行で問題解決にあたります。

Dr. Jamie Saunders
ジェイミー・サンダース博士

日本サイバーディフェンス 非常勤役員 シニアエグゼクティブアドバイザー

国際的に著名なサイバーリーダーであるサンダース博士は、英国のサイバー犯罪対策能力を拡充し、官民連携を強化し、国際的なサイバー政策の推進に貢献しました。

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