Nihon Cyber Defence

サイバーレジリエンス構築のための戦略ガイド ​

サイバーインシデントの影響を最小限に抑えるための実行可能な戦略

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世界経済がデジタルテクノロジーへの依存を深める中で、サイバーレジリエンスの重要性が一層高まっています。従来のサイバーセキュリティが侵害を未然に防ぐことに主眼を置いているのに対し、サイバーレジリエンスは、重大なサイバーインシデントが組織の重要な目標や目的に与える影響を最小限に抑える力のことを指します。

世界経済フォーラム(World Economic Forum)のジェイミー・サンダース博士(Dr. Jamie Saunders)の共著による最近の投稿では、「Unpacking Cyber Resilience(サイバー・レジリエンスを解明する)」から、組織のサイバー防御強化に役立つ実用的な洞察が紹介されています。ここでは、企業がレジリエンスを強化するための5つの重要な戦略をご紹介します。

1. 完全なサイバーセキュリティは実現不可能であることを理解する​

100%のサイバーセキュリティを達成することは不可能です。そのため、企業はサイバーリスクを広い視点で捉え、悪意ある攻撃者が業務、収益、評判に損害を与える可能性があることを認識する必要があります。

  • レジリエンスへ投資することで、サイバーインシデントがもたらす経済的・風評的な損害を抑えることができます。
  • レジリエンスの高い企業は、そうでない企業に比べ、株主利益率が一貫して高い傾向にあります。

2. 混乱を想定したプランニングを実施する​

企業は、戦略・業務・財務・法的な優先事項を反映した計画を策定し、回避不可能なインシデントに備える必要があります。

  • 効果的なレジリエンス計画は、脅威や潜在的な損害を正確に理解することから始まります。
  • これは、混乱時に企業の中核機能を最優先で保護できるよう設計されていることが不可欠です。

3.    サイバーレジリエンスを業務プロセスに統合する

サイバーレジリエンスはIT部門だけの問題ではなく、企業全体で取り組むべき課題です。

  • 混乱を最小限に抑え、迅速な回復を実現する業務プロセスを設計します。
  • サービスの品質を守り、利害関係者を保護するための緊急時対応策を整備します。
  • 外部のパートナーと連携し、企業を取り巻くビジネス環境全体のレジリエンスを強化します。

4.    機密情報を守る

サイバーレジリエンスはIT部門だけの問題ではなく、企業全体で取り組むべき課題です。

  • 混乱を最小限に抑え、迅速な回復を実現する業務プロセスを設計します。
  • サービスの品質を守り、利害関係者を保護するための緊急時対応策を整備します。
  • 外部のパートナーと連携し、企業を取り巻くビジネス環境全体のレジリエンスを強化します。

5.    過去の事例から学ぶ

継続的な改善こそが、レジリエンス強化の鍵となります。

  • 過去のサイバーインシデントから得た教訓を活かして、プロセスを改善し柔軟に適応させます。
  • 成功事例を参考にし、同業他社の経験や知見を活用して、直面する課題に対応します。

レジリエンスの戦略的必要性 

サイバーレジリエンスは、単なる防御策にとどまらず、イノベーションや生産性向上、そして経済成長を実現するための戦略的な手段です。

これら5つの戦略を取り入れ、連携を促進することで、企業や組織は進化し続ける脅威に対応し、デジタル時代において持続可能な成功を収めることができるでしょう。

詳しくは、世界経済フォーラムの報告書全文をご覧ください: サイバー・レジリエンスを解明する

日本サイバーディフェンスは、事業継続性を支えるオーダーメイドソリューションを提供し、サイバーレジリエンスを「課題」から「戦略的強み」へと転換するお手伝いをします。NCDの専門知識を活用することで、企業は先を見据えた計画策定、強固なデータ保護、そして継続的な改善を可能にするフレームワークを導入できます。

組織のレジリエンスを高め、未来を守るために、是非NCDにご相談ください。

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ジェイミー・サンダース博士

日本サイバーディフェンス 非常勤役員 シニアエグゼクティブアドバイザー

ジェイミー・サンダース博士

日本サイバーディフェンス 非常勤役員 シニアエグゼクティブアドバイザー
国際的に著名なサイバーリーダーであるサンダース博士は、英国のサイバー犯罪対策能力を拡充し、官民連携を強化し、国際的なサイバー政策の推進に貢献しました。
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サイバー成熟度評価 ​

日本サイバーディフェンス(NCD)では、組織のサイバーセキュリティ能力を包括的に診断する「サイバー成熟度評価サービス」を提供しています。このサービスは、現状の課題や強みを明確化し、組織が直面するリスクに対して最適な対策を講じるための土台を築くものです。さらに、全体的なセキュリティ態勢を強化するための戦略的なロードマップをご提案し、実効性のある改善計画をサポートします。

サイバーセキュリティフレームワーク(NIST)

国立標準技術研究所

サイバー評価フレームワーク(CAF)

国家サイバーセキュリティセンター

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