Nihon Cyber Defence

未来のサイバーセキュリティを担う女性たちの育成

北アイルランドで開催されたEmpower Girlsイベントに出展

Two middle school girls learning to code together in a cyber security workshop
女子中学生がコーディングやサイバーセキュリティに触れる体験を通じて、自信と未来のキャリアへの関心を育む――Empower Girlsが目指す姿です。

イベント概要

2025年4月29日、日本サイバーディフェンス株式会社(NCD)が英国北アイルランドのベルファストで開催されたイベント「Empower Girls」に出展しました。このイベントにおける取り組みをレポートします。

Empower Girlsは、サイバーセキュリティやテクノロジー分野でのキャリアをめざす若い女子学生を支援することを目的としたイベントです。今回は、北アイルランド各地から22校、約600名の8年生(11歳から12歳)の女子がが参加しました。北アイルランドは地理的にコンパクトであり、一番遠い学校でもバスで2時間程度で首府ベルファストに到着できます。会場は明るい笑顔であふれ、サイバーセキュリティを実際に体験しながら学べる、とても刺激的な1日となりました。

北アイルランド中の学校からEmpower Girlsに参加

大勢の女子生徒のワクワク感に包まれた会場

Empower Girlsのフレームワーク

そもそもEmpower Girlsとは一体何なのか。Empower Girlsは、英国のサイバーセキュリティを担う政府機関である英国国家サイバーセキュリティセンター(UK National Cyber Security Centre: NCSC)が、「CyberFirst Schools and Colleges」イニシアチブの一環として実施している取り組みです。このイニシアチブは、若者(ジェンダーを問わず)にサイバーセキュリティ分野への関心を高めてもらい、将来の人材育成を支援することを目的とした教育プログラムです。つまり、Empower Girlsは、英国政府機関が特に若い女子生徒を対象、サイバーセキュリティ分野におけるテクノロジーやキャリアの可能性を認知・体験してもらうためのイベントです。

Cartan McLaughlin, CEO of Nihon Cyber Defence
佐々木千尋

日本サイバーディフェンス株式会社 インシデント対応責任者

NCDにてサイバーインシデント対応業務を主導。また、官民及び国際セクターにおける次世代の人材育成を通じて、グローバルなサイバーレジリエンスの向上を推進している。

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イベント内容

イベントは、ベルファストにある大規模なイベント会場のワンフロアを使用し、「インタラクティブ・ソーン」と「デモ・ゾーン」に分かれて構成され、さまざまな企業や団体が出展するブースで来場者が多彩な体験を楽しめるようになっていました。

NCDは、インタラクティブ・ゾーンにおいて、以下の3つのコンテンツを提供しました:

  • サイバーポリスゲーム(小学生版):サイバーセキュリティの基本的なリテラシーを学べるボードゲーム
  • ランサム体験ゲーム:コンピュータがランサムウェアに感染した状況や、攻撃者とのやり取りを模擬体験できるコンピュータゲーム
  • パスワードチェッカー:自分のパスワードをコンピュータに入力すると、それがすでにリークされたパスワードかどうかを確認してくれるチェッカー
サイバーポリスゲーム
ランサム体験ゲーム
パスワードチェッカー

サイバーポリスゲームは、愛知県警がHP上で公開しているボードゲームです。愛知県警とゲームを監修された慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究所の花田経子先生のご協力の下、弊社で日本語から英語への翻訳を行い利用させていただきました。ランサム体験ゲームとパスワードチェッカーは、NCDがこのイベントのために作成しました。どのコンテンツも大変な人気で、ゾーンが開いていた3時間の間、大いに賑わいました。

empower_girls7
弊社インターンの女性(右2名)も駆けつけてくれました!
ブースは終日、賑わっていました。

参加者の声

参加した学生たちからは、

「掃除機や車もインターネットにつながっていると思わなかった!」

「とても興味が沸いた!」

という声が多く寄せられました。また、教育関係者や他の出展企業からも、生徒の年齢に適した、非常に教育的で楽しめるコンテンツであると高い評価を受けました 。

本イベントの成果

本イベントを通じて、参加した学生たちにはサイバーセキュリティとテクノロジー分野でのキャリアに対する興味を深めてもらえたと思います。また、私たち自身も彼女たちからたくさんのエネルギッシュな刺激をもらいました。

イベントには、ロールモデルとして北アイルランド経済大臣(Minister for the Economy)のDr. Caoimhe Archibald MLA女史、NCSC CyberFirstプロジェクトマネージャーのSara Lyons女史の他、北アイルランドの著名な女性のセキュリティ専門家らが参加しており、英国におけるサイバー分野の女性人材の層の厚さを実感しました。私も一人の母親として、

ぜひ娘にもEmpower Girlsに参加してもらいたいと感じました。(娘が参加できる年齢になる頃には、すでに日本に帰国しているかもしれないと思うと、残念でなりません!)

次世代女性サイバーセキュリティリーダーの育成

イベントの効果を確認するため、主催者はイベントの前後で学生たちにアンケートを実施しました。最初のアンケートでは、テクノロジーやサイバーセキュリティ分野でのキャリアを考えていたのはわずか40%でしたが、イベント後には72%に跳ね上がったそうです[1]。たった1日の体験が、若い女性たちに豊かなインスピレーションを与え、サイバーセキュリティへの認識を大きく変えたのです。Empower Girlsは、彼女たちの無限の可能性を未来のキャリアへとつなぐ力を持っています。

NCDは今後もこのようなイベントに積極的に参加し、次世代の女性たちのキャリア支援を続けてまいります。

サイバー成熟度評価 ​

日本サイバーディフェンス株式会社(NCD)では、組織のサイバーセキュリティ能力を包括的に診断する「サイバー成熟度評価サービス」を提供しています。このサービスは、現状の課題や強みを明確化し、組織が直面するリスクに対して最適な対策を講じるための土台を築くものです。さらに、全体的なセキュリティ態勢を強化するための戦略的なロードマップをご提案し、実効性のある改善計画をサポートします。

サイバーセキュリティフレームワーク(NIST)

国立標準技術研究所

サイバー評価フレームワーク(CAF)

国家サイバーセキュリティセンター

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